
JAM Project in RISO
スウェーデン セント・ヨーラン病院の緊急病棟改築で実施されたホスピタルアートプロジェクト。2013年にコンペ獲得、2016年4月に完成。病院という、コミュニケーションがとても重要な場に、コミュニケーションを軸にした企画を提案し、スウェーデン国内外約200案の中から採用されました。“対話” をコンセプトに、制作プロセス自体にストーリー性を持たせました。最初に病院スタッフとの「対話のワークショップ」を開催し、そこから得られたドローイングを素材にパターンを制作する、という二本柱から成っています。パターンデザインは、パーテーション等のガラス部分に施され、さらに、廊下、階段踊り場に設置されるセラミックアート作品へ展開されました。
セラミックアートを彩るパターンアートは、ある単位に見立てた一版の重版とリピートによって構成されています。その単位は、一日かもしれないし、一年、一秒かもしれない。あるいは個人、ひとりの人間としても考えられるかもしれない。同じようで違う、違うようで同じ。この作品の前を通る人が見るたびに、いつもと違う何かを心の中に発見してもらえたらという思いを込めました。当時の担当者に話をうかがうと、ワークショップに参加していないスタッフともパターンデザインの制作ストーリーが共有でき、病院スタッフと患者や病院来訪者との良いコミュニケーションツールとしても機能しているとのこと。デザインコンセプトが病棟に広がり、デザインが病棟と調和し、ひとつになっているそうで、デザイナー/アーティストとして大きな貢献ができたプロジェクトになりました。